■好きなことをすれば成功する?
「好きなことを仕事にしなさい」
成功者たちの中には、そうおっしゃる方がいます。
確かに、好きなことの方が、嫌いなことよりも
努力することが苦にならないし、それだけ情熱を注ぐことができます。
嫌いなことを頑張るのは、とてもエネルギーが要りますが、
好きなことなら、やればやるほどエネルギーが湧いてきます。
好きなことに熱中していたら、あっと言う間に時間が過ぎていた、
なんてことは、よくあることです。
それだけ、好きなことに一生懸命になれば、
うまくいくに決まっている、というのが、
きっと成功者の伝えたいことなのでしょう。
■”好き”という感情の落とし穴
しかし、好きという感情には、気をつけなければならない、
落とし穴が存在します。
この”好き”という感情、実はとても儚く、
移ろいやすいものだという事実です。
例えば、昔とても好きだったものが、
今では何とも思わなくなってしまったってこと、
よくあるのではないでしょうか。
すごく好きになったものほど、飽きたときや、
何かの拍子に嫌いになったときの反動は大きいものです。
もう二度と見たくもない、やりたくもないと思うことすらあります。
好きになるのが一瞬ならば、
嫌いになるもの一瞬です。
好きでい続けることは、簡単なことではないのです。
■天職って何だろう?
私は以前、天職というものがこの世に存在するなら、
自分の天職をぜひ知ってみたいと思っていました。
おかげさまで、今はその天職を見つけられたかどうかは分かりませんが、
やりがいのある仕事に就くことができました。
ただ、その道も決して平坦なものではなく、
自分がやりたいと思ったはずの仕事を、
一度は嫌いになったこともあったのです。
そこで随分と悩みました。
好きで始めたはずなのに、一体どうなってしまったんだろう?
天職かもって思ってたのに、どうして嫌いになっちゃったんだろう?
そして、あるとき気付いたのです。
この世に、天職なんて、そもそも存在しないということに。
「これがあなたの天職です」
なんていうものは無いということに、気付いたのです。
自分が「これが天職だ」と思えばそれが天職だし、
「これは天職ではない」と言えば、それは天職では無い。
つまり、自分で天職だと決めているだけだったのです。
■天国も天職も創るもの
「てんつくマン」という方がいます。
お笑い芸人だった彼は、あるとき「映画を作りたい!」と思い立ち、芸人を引退します。
そして、映画の制作資金を作るために、路上で筆と墨で一人一人に
インスピレーションで言葉を書くというパフォーマンスを始めます。
その期間、なんと4年半。
彼の意気に同感した方々からの援助もあり、
長い月日をかけて映画は完成しました。
私もその完成した映画を、数年前に見ました。
「107+1~天国はつくるもの~」というタイトルのその映画は、
名もない人たちが、一生懸命何かにチャレンジする様を記録した
ドキュメンタリーでした。
作者が何を伝えたかったのかはわかりませんが、
私がその映画から感じたテーマは、
「自分が変われば世界は変わる」というものでした。
てんつくマンの”てんつく”とは、
”天国はつくるもの”という意味のようです。
「誰かこの世界を天国みたいにしてくれないかなあ」
「天国ってどこにあるんだろう」
「死んだら天国にいけるといいなあ」
そういう発想ではなく、
「だったら天国を自分達でつくっちゃえばいいじゃん」
という発想です。
天職もそれに似ていると思います。
天職を探すのではなく、自分で創ればいいのです。
もちろん、自分の個性に合った環境というものも、
存在すると思います。
それを見つけることも、大切です。
しかし、それ以上に大切なことは、
「自分で創る」つまり、
能動的に働きかけるという姿勢ではないかと思います。
仕事に不平不満を言っているときは、
誰かに何とかしてもらいたいと思っています。
自分で心地よい状態にしようと思ったら、
不満を満足に変えるべく、自分から働きかけることができます。
そうすれば、自分が主人公になって、仕事も創ることができるのです。
そして、自分が創ったものには、愛情が湧きます。
もっといいものにしたいと、一生懸命になります。
努力して、好きになろうとしても、
なかなか好きになれるものではありませんが、
自分のやっていることを愛することは、
そんなに難しいことではありません。
目の前のことを、一生懸命やればいいだけです。
愛があれば、多少の困難や、失敗も乗り越えられます。
嫌いになったとしても、それを一時的なこととして、
受け止め、真摯に向き合うこともできます。
天職を見つけたいと思ったら、好き嫌いの前に、
今の仕事を一生懸命やってください。
仕事で悩んでいる人は、
ぜひ今の仕事を大切にしてあげてください。
そうすると、いずれ本当にやりたいことも見えてきますよ。